2020年3月18日~4月17日 日本経済新聞電子版広告特集にて掲載

ーー昨年の大会では、「ワンチーム」という考え方や、リーチ選手のキャプテンシーが話題になりました。
ビジネスマンにも大いに学ぶところがあったと思います。
「ワンチーム」のスローガンは流行語大賞にも選んでいただきましたが、昨年の大会では、31名の選手のうち15名が外国出身の選手でした。
そういった育った環境・文化が異なる選手をひとつにまとめ上げるためには、わかりやすいスローガンというのは大切だったと思います。
これはビジネスでも同じではないでしょうか。相手に伝わりやすい言葉でチームをまとめることですね。
そして、私のキャプテンシーだけが寄与したのではありません。ジョセフHCは、ポジションごとに9人のリーダーを指名しました。
私も含めてこの10人のチームがリーダーシップを発揮し、それぞれの仕事に責任感をもって取り組んだことがチームの一体感醸成に繋がったのだと思います。
こういった組織づくりも、ビジネスで役立てることができると思います。
ーーパレード時などのスーツ姿も話題となりました。
私は日本の強みは規律だと思っています。
遠征時の移動も、きちんと統一されたスーツ姿で過ごしたことは、ワンチームとして日本国民みなさんとも一体になるためにも良かったと思います。


ーー靴も革靴を履かれていたと思います。
足に悩みを持つ人の多い日本には、「靴はキュークツ」という言葉もあるのですが、身体の大きなラグビー選手も悩みは多そうですね。
15歳で来日した当時も、30cmの足に合うスパイクが札幌になくて苦労したんです。ボロボロのスパイクをテープで補強して使用していて、
見かねた札幌山の手高校の父兄の方々がインターネットで取り寄せてプレゼントしてくれたということがありました。
今はアシックスのサポートを受け、昨年の大会では特別なハイテクモデル「LETHAL WARNO ST 2(リーサルワーノ ST 2)」を使用しました。
このモデルは、かかとがつま先より10mm高くなっています。
これは、私の骨格と関係しています。実は骨盤が前傾しているので、底がフラットだと筋肉が働きにくくなるのです。
日本の強みであった、スクラムのパフォーマンス向上にも貢献していたと感じています。
私はほかにも、手足が長くタックルにも強みをもっていますが、なで肩なおかげでタックルしてもうまく力が逃げて脱臼しづらいんです。
見た目はかっこ悪いですが、ラグビーには有利に(笑)。人の身体は本当にそれぞれだなと思います。
ーーアシックスの「RUNWALK」に代表されるビジネスシューズは、1976年開催の国際的なスポーツ大会の入場行進がきっかけで誕生しました。
創業者の鬼塚喜八郎氏が、ブレザーに合って、かつどんなときも人々の足を守って正しく歩ける靴が必要だ、と。
確かに「RUNWALK」は、見た目はすごくスタイリッシュでモダンなビジネスシューズなのに、履き心地がすばらしいと感じます。
私のスパイクの開発も非常に詳細に足形を計測していただきましたが、このシューズをお店で購入する時も同様に3次元で足形を計測してくれると聞きました。
スパイクも履くだけで気分が高揚するほど相性がよく、よりゲームに集中することができていますが、
移動の際にも「RUNWALK」があれば、準備段階からいい集中が図れそうです。
私は試合前日には、部屋や持ち物を整えることにしています。それによって余計な不安や悩みごとがなくなり、頭の中も整理できるのです。
そうして心に余裕が生まれると、常に先を考えながらプレーすることができます。
ビジネスシーンでも、“キュークツ”といった足元の不快感がなければ、商談に向けていい準備や集中につながるのではないでしょうか。
また、私にとってのスパイクのように、オンタイムにも少し足を延ばしてウォーキングしてみようというモチベーションにも繋がると思います。


ーーリーチさんを中心に、日本のラグビー界に新しい時代を切り開かれたと思います。
アシックスのウォーキングシューズも、足のことを考え抜く情熱と歩くことへの研究で、歩く文化というライフスタイルを切り開いていますが、
なにか共通項を感じられる部分はありますか?
キャプテンとして外国出身選手には「武士道」や「覚悟」といった日本文化を積極的に伝えるようにしています。
私はNZのチームでもプレーした経験がありますが、武士道の精神に代表される一つのことに情熱を注いで突き詰めていくという姿勢は、
日本の強みだと思っています。身体は小さくても、みんなが強い覚悟を持っていて、心が決まったときは本当に強いのです。
「RUNWALK」にも、そういった「日本」を感じることができますね。
ーーハイテクが取り入れやすいスニーカーの世界とは異なり、クラシカルなスタイルが良しとされるビジネスシューズの世界ですが、
「RUNWALK」はドレス的なカッコ良さのためのミリ単位のディテールにこだわりつつ、数多くの機能が搭載されています。
テクノロジーの追求はまさに世界に知られる日本的なものだと思いますが、ミリ単位でのこだわりという美学も日本的なものだと感じます。
そして、ビジネスシューズというヨーロッパ文化をうまく日本的に取り入れてフュージョンさせてしまう。
これも、私たちが皆さんに示した姿と重なる部分があるのだと思います。
しかし、パッと見には、このクラシカルでエレガントなシューズにそれほどの機能が搭載されているとは、本当にわからないですね。



リーチ マイケル(Leitch Michael)
- 1988年、ニュージーランド出身。2004年、札幌山の手高校に留学しラグビー部に入部。進学した東海大学で2年生となった08年、日本代表に初選出。
- 卒業後の11年、東芝ブレイブルーパスに入団。同年ワールドカップに日本代表として出場。13年、日本国籍を取得。
- 15年のワールドカップ・イングランド大会、19年の日本大会ではキャプテンを務めた。
