#WELL-BEING 2023.02.27
歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK -神戸市 岡本・高垣真希編(アシックスウォーキング高槻 店長)-
※2023年2月時点の取材内容で構成しています。
その街をよく知るナビゲーターがおすすめの散歩コースを紹介しながら、ご自身のウォーキングスタイルについて語る連載企画「SANPO TALK」。第5回目のナビゲーターは、アシックスウォーキング高槻の店長、高垣真希。馴染みの散歩コースを紹介してくれた芦屋編に続き、今回は新たに開拓中だという神戸市・岡本周辺のスポットを散策。そこには絶品のスイーツやコーヒーなど、歩き回ったカラダが喜ぶご褒美が待っていました。
今回の散歩は、神戸市東灘区の住吉から岡本にかけてのエリアが舞台。この辺りは神戸市最大のターミナルである三宮や大阪の梅田からもアクセスしやすく、閑静な住宅街、大学が点在する文教地区、山や川が近い自然豊かな街……といったさまざまな顔をもっています。5月には、たくさんのだんじり(山車)が街中を駆け巡る「東灘だんじり」が開催され、住吉や岡本周辺も大勢の見物客でにぎわうのだとか。
そんな神戸市の東端エリアを巡る今回のお散歩は、JR住吉駅からスタート。
前回は地元である芦屋のお気に入りコースを紹介してくれた高垣ですが、今回は慣れ親しんだ場所ではなく、新たなウォーキングコースとして開拓中のエリアを巡ります。
JR住吉駅を降りて、国道2号線を東へ。すぐに現れる住吉橋の下を流れているのが住吉川。六甲山から大阪湾へと流れ注ぐこの川は、生活排水の流入がないこともあり、市内随一の清流としても有名なのだとか。
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「両岸が遊歩道として整備されていて、すごく歩きやすいですよね。市街地を流れる川ですけど、水がきれいなので鮎や蛍も生息しているらしいですよ」
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遊歩道をのんびり散歩し、川面に並ぶ飛び石を渡って反対岸へ。ここから最初の目的地である「鈴木商店」を目指します。
「鈴木商店は昔ながらのアイスキャンデーとソフトクリームが有名なお店で、普段からよく買いに行きます。今風のインスタ映えするようなお店ではないかもしれませんが、素朴な雰囲気がいいんですよ」
アイスに限らず、甘いものには目がないという高垣。道中でも「このケーキ屋さん、最近できたばかりなんですよ」「あそこのお店はいつも行列ができてます」など、実際にその足で仕入れたスイーツ情報は止まりません。
そうして歩くこと約15分。国道2号線と魚崎幹線の交差点に、「冷菓 鈴木商店」と書かれた黄色いテント看板を発見。その下にある窓が注文カウンターとなっていて、休日ともなれば、ここから建物の壁に沿って長蛇の列ができるといいます。
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この日は季節外れの暖かさで、少し歩くと汗がにじむほど。早速、高垣はミルク金時のアイスキャンデーを購入。「この包み紙もレトロでかわいらしいですよね」と言いながらうれしそうに頬張ります。
「ここはイートインスペースがないので、少し広くなっているお店の前で食べていく人が多いですね。あと持ち帰り用にアイスキャンデーを買うと、新聞紙でくるんで持たせてくれるんですよ。そんな気取らなさもこのお店が大好きな理由です」
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冷たいスイーツでクールダウンしたら、再び国道2号線を進みます。この道は大阪市から北九州市までつながる幹線道路で、一見するとどこにでもありそうな大きな通り。でも高垣にとっては幼い頃の思い出がよみがえる場所なのだそう。
「小さい時に、この近くの魚崎というところに住んでいた時期があって。特に鮮明な記憶として残っているのが、この国道2号線で見た『東灘だんじり』のにぎやかな光景でした」
東灘区の人々が長年大切にしてきた伝統行事。その舞台でもある通りをさらに20分ほど東へ進むと、次の目的地がありました。
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「ピッツェリア ダル リッチョロ」。スーパーやファミレスにコンビニといった、いわゆるロードサイド店が立ち並ぶ国道2号線沿いにあって、異彩を放つ本格的なイタリアンです。
「ウォーキング中にたまたま見つけたお店なんですが、店構えがかわいらしいし、前を通るたびにいつも満席。だからずっと気になっていたんです」
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というわけで、この日が初めての訪店となった高垣。定番のピッツァマルゲリータをオーダーし、わくわくしながら出来上がりを待ちます。
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店主が手際よく生地をのばし、トマトソースとモッツァレラチーズをのせ、イタリアから船で運ばれたという立派な窯で焼き上げたマルゲリータ。果たしてそのお味は……?
「すごくおいしい! 生地が香ばしくて軽いから、ひとりでもペロッと1枚食べられそうです」
ピッツァ以外の料理も楽しんでほしいとの思いから、あえて生地は水を多めに使って軽く仕上げているのだそう。
「やっとここのピッツァが食べられて大満足です。今度はまたゆっくり来て、いろんな料理を食べてみたいですね」
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少しずつ日が傾きはじめ、背中に西日を受けながら再び歩き出した高垣。ジム通いの代わりにはじめたというウォーキングは、今では仕事にも活かされているといいます。
「ダイエットの一環で歩きはじめたんですが、いつの間にか立派な趣味になり、ちょうどいいストレス発散にもなっています。そして何よりアシックスのシューズの販売スタッフとして、自分のウォーキング経験が接客で大いに役立っています。これからも商品の魅力はもちろん、歩くことの楽しさも合わせてお客様にお伝えしていければと考えています」
今回の散歩もいよいよ締めくくり。最後に高垣が選んだのは、あの星野仙一監督が阪神タイガース時代に足繁く通っていたという喫茶店「喫茶館 尾賀」です。
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店構えをはじめ、使用される食器やケトルなどは昭和62年の創業以来不変。また、おかみさんは83歳の今でも自らコーヒーを淹れ、元気に接客もされています。
「ここは同僚のスタッフが教えてくれたお店で、古き良き純喫茶の佇まいがたまらないですね。コーヒーもすごくおいしいんです」
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終戦直後に創業したコーヒーの卸業者が母体のお店で、豆のクオリティも確かです。
「うちは粗く挽いた豆にゆっくりと時間をかけてお湯を注ぐの。さらに2分かけて豆を蒸らして、じっくりコーヒーを抽出しているのよ」とおかみさん。
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オーダーごとに一杯一杯丁寧に淹れてくれるコーヒーは、すっきりした口当たりが特徴。歩き疲れた体にスーッとしみわたっていきます。
おかみさんのお話を聞いたり、今日一日のコースを振り返ったり。あまりの居心地のよさについ長居をしてしまいましたが、これにて今回のお散歩は終了です。
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芦屋や三宮のような名のあるエリアではなくとも、素敵なお店や歩き甲斐のある場所はたくさんあるもの。みなさんも身近なところから、自分なりの散歩コースを開拓してみてはいかがでしょう。
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鈴木商店
住所:兵庫県神戸市東灘区田中町3-1-1
電話:078-431-5744
ピッツェリア ダル リッチョロ
住所:兵庫県神戸市東灘区本山中町1-1-10
電話:078-431-1506
珈琲館 尾賀
住所:兵庫県神戸市東灘区本山中町1-14-8
電話:078-411-0001
PROFILE
2010年、アシックスジャパン株式会社に入社。以来、ウォーキング事業部でリテールを担当。大阪、兵庫の直営店で店長を歴任し、現在はアシックスウォーキング高槻で店長を務める。