一昼夜をかけて歩き続ける。ロングウォークを楽しむために
誰もが日々、意識することなく行っている「歩く」という行為。だが、その距離が100kmともなると、それはたちまちエクストリームなスポーツになる。

小田原城から有明までの100kmを26時間以内で踏破する「TOKYO XTREME WALK」。
参加者はコースに設けられた5カ所のチェックポイントを制限時間までに通過しながらゴールを目指す、「スポーツとしてのウォーキング」を掲げる大会だ。住宅街から海沿い、都会へと刻々と変わる景色を楽しみながら、一昼夜をかけて歩き続ける。
100kmを歩き続けるのは、通常のウォーキングとは異なる。約15万歩も歩き続けるのだから、大なり小なり、足のトラブルは避けられない。それでも前に進み続ける強い精神力が求められる。エクストリーム性があるだけに、参加者のボリュームゾーンは30〜50代と、一般的なウォーキング大会よりは若いが、一方で、年齢や性別を問わず20歳以上なら誰でも挑戦でき、運動経験などに捉われず、仲間とともに参加できる魅力もある。
そんなロングウォークの気力を左右するのがシューズだ。一般的なウォーキングシューズとは異なり、長時間歩いていても蒸れにくい通気性、着地の衝撃を和らげる適度なクッション性、靴の中でのブレを軽減するフィット感がロングウォークのシューズには求められる。ウォーキングをスポーツとして楽しむ人々のために、長距離・長時間歩行の快適さを追求、リニューアルして誕生したのが「GEL-RIDEWALK 2」だ。

100km先を目指す参加者の足を支える、数々のテクノロジー
TOKYO XTREME WALKのコンセプトは、スポーティで都会的。大会当日は、秋晴れの快晴。少しの不安と大きな期待が入り混じった表情で小田原城址公園に集った参加者たちは、ある者は1人で、ある者は家族や友人とともに、どこか子どもの遠足のような気分で、小田原城に見送られながら一路東京を目指す。


湘南海岸では、右手には烏帽子岩、背面には富士山など、さまざまな景色が参加者の目を楽しませる。だが、陽射しを遮るものはなく、砂が堆積しがちな海岸沿いの路面は歩きづらく、体力を奪う。中盤には、箱根駅伝でも難所と呼ばれる遊行寺坂、権太坂も待ち受ける。体力が消耗しはじめた体には壁のようにも感じられるが、箱根ランナーの凄さを体感することができるポイントでもある。

そんな難所が続くコースで、推進力をサポートしてくれるのが、GEL-RIDEWALK 2の「エナジーセービング機能」。「GUIDESOLE」と呼ばれるカーブ形状のソールは、コロンと転がるように足を前へと送り出してくれ、足首の負担やふくらはぎまわりのエネルギーロスも軽減できる。
ただし、ランニングとは違い、ウォーキングでは転がりすぎたり柔らかすぎたりするソールはエネルギーロスへとつながる。そこで、靴底にフラットな領域を設けることで、ウォーキングに特化したエナジーセービングを可能にした。さらに今回のリニューアルではソール前足部にTPU製のプレートを組み込むことで、剛性を維持しながら軽量性も実現した。
ライド感をさらに高めてくれるのは、アシックスが誇る衝撃緩衝機能の「GEL」。接地面積を広げたかかと部分との相乗効果で、着地時の衝撃を和らげ、足への負担を軽減する。

大会当日は、10月下旬にもかかわらず、30度を超える季節外れの真夏日。降り注ぐ陽射しは体力を奪い、江ノ島が見えてくる30km付近になると、多くの参加者が疲労を感じ始める。ゴールへの意欲を大きく削ぐマメや水ぶくれに苦しむ参加者も多い。一歩踏み出すたびに感じる痛みは、ゴールまでの距離をより遠く感じさせるには十分だ。
マメや水ぶくれの原因になっているのが靴内の蒸れとブレ。陽射しを浴びて高まる体温とアスファルトからの放射熱が足の蒸れを引き起こし、湿気で柔らかくなった皮膚は、摩擦のダメージを受けやすくなる。これを解消するのが、アッパーの通気性。GEL-RIDEWALK 2は、前モデルから、特に通気性をアップデートすることで靴内環境を改善。アッパー素材にメッシュ素材、ベロ部分にラッセルメッシュ素材を採用したことで通気性を向上させた。
靴内のブレは、さまざまなアプローチでフィット感を高めることで改善。アッパーは、科学的データに基づいた製品設計を行う、アシックススポーツ工学研究所での知見をもとに、ハトメの配置などを決定したパターン設計を採用した。また、かかと部分の足とシューズのギャップを軽減するためのモールドカウンターを配置している。

さらに、GEL-RIDEWALK 2の快適性へのこだわりはインナーソールにも及ぶ。疲労が蓄積してくると、足はバランスを崩し、体を適切に支えることが困難となってくる。インナーソールの硬度を部分的に変えることで、土踏まずを落ちにくくし、かかとの安定性を高めるなど、コース後半でも安定した歩きをサポートする。
シューズと足の対策への重要性を「痛み」をもって実感していたある参加者は、同時にエクストリームスポーツの楽しさも実感していたのだろう、「次回こそは足の対策を万全にしてリベンジしたい」と話す。100kmにも及ぶロングウォークにはいつも以上に、シューズのチョイスが重要なのだ。
山、海、街。変わる景色とともに動く感情
朝日に照らされた小田原城、海岸の彼方に見える江ノ島、夕景に浮かぶ富士山、美しい夜景を誇るみなとみらいエリア。TOKYO XTREME WALKでは、さまざまな景色が目前にあらわれる。歩いてたどり着いたからこそ見られる景色は、観光として訪れたときとは違う、体に染み入るような感動を与えてくれる。

とはいえ、秋の日没は早い。チェックポイントでのわずかな休息の間にも、陽は傾き、夕闇が訪れ、辺りは闇に包まれる。励まし合いながら歩いてきた仲間とのペースもばらつき始め、別れるべきか、ともに歩むべきかの選択を迫られる参加者もいるはずだ。
「休憩後は立ち上がるのも億劫」と話す参加者も珍しくない。ともすれば止まりそうになる足取り。深夜になれば周囲を歩く参加者の数も減る。痛みや孤独感に耐えながらも、気力を振り絞って歩くほかの出場者の姿や、ともに参加した仲間もどこかで頑張っているはずだと、自分を鼓舞して、ひたすら歩き続ける。




それでも明けない夜はない。使い古された言葉だが、とてもしっくりくる。
東の空が白んでくると、眼前に景色が輪郭をもって浮かび上がってくる。人々が目覚める前の静かな都会の街並みは、足の痛みも忘れるほどの贅沢な時間。ゴール付近になってくると、見慣れた街並ですら、いつもと違って見えてくる。見知った街に帰ってきた、その安心感が参加者を包み込む。
ここまでくると、ゴールまではこれまで以上に気力が勝負の鍵となる。ロングウォークは、年齢や性別による優位性が大きくは出にくいという。軽い足取りで歩を進める年長者の姿に勇気づけられ、ゴールの達成感に思いを馳せながら、最後の体力・気力を振り絞って有明を目指す。
そうしてたどり着いたゴールでの感動は格別のもの。

GEL-RIDEWALK 2とともに、また来年も挑戦したい。そう思わせてくれるのもまた、TOKYO XTREME WALKの魅力だろう。
喜怒哀楽、自分の全ての感情と向き合ってきた時間、何よりも100kmを完歩した達成感と自信は、これからの日常や仕事にも大きな影響をもたらせてくれるはずだ。GEL-RIDEWALK 2とともに歩んだ長い道のりを振り返れば、辛かった経験や筋肉痛ですら良い思い出となる。
PROFILE
自身の体力と気力の限界に挑戦する、新しいウォーキング大会の形「エクストリームウォーク」。基本ルールは、所定のチェックポイントを関門時間までに通過し、制限時間内にゴールすること。タイムや順位は競わず、20歳以上であれば誰でも参加できる。
今回紹介した小田原〜有明の100kmを歩く「東京エクストリームウォーク100」のほかに50㎞を12時間以内で歩く大会も開催。
詳しくは公式サイトへ https://www.asahi.cotm/xtremewalk/