アシックスウォーキングのビジネスシューズ「RUNWALK」の誕生30周年を記念した展示イベント「ASICS WALKING RUNWALK GALLERY」が、3月20日から25日にかけて「銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM」で開催されました。ここでは多くのメディア関係者にご来場いただいた先行内覧会&レセプションの模様をレポートしながら、本イベントの概要と気になる展示の数々を振り返ります。
歩くことの価値を再発見
高い機能性と歩きやすさでビジネスシューズの概念を覆した「RUNWALK(ランウォーク)」は、昨年誕生30周年を迎えました。そんな節目を記念して開催された「ASICS WALKING RUNWALK GALLERY」は、RUNWALKの歴代モデルのアーカイブやアートウォールを通じて、アシックスウォーキングが誇るテクノロジーを紹介するとともに、歩くことの価値を再定義するイベントです。

会場となったのは、やぐらをモチーフにした高さ6mの書棚が四方を囲む「銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM」というスペース。イベントの開催に先駆け、3月19日に行われた先行内覧会&レセプションでは、メディア関係者に向けてひと足早くギャラリーが公開されました。開場時間になるやいなや大勢の人々が詰めかける盛況ぶりで、このイベントへの期待値の高さを感じさせます。
「ひとりでも多くの方にアシックスウォーキングの理念や、私たちが大切にしている“歩くことの価値”に共感していただきたいと考えています」
イベントの主旨についてそう語るのは、アシックス商事 ブランド戦略チームの鈴木 徹。彼を案内役にツアー形式でギャラリーの内覧がスタートしました。まず、会場に入るとすぐに、「歩くが五感をひらく」をテーマとしたウォールが来場者をお迎えします。


「アシックスがウォーキングシューズを手がけた背景に『歩くことによる人間性の回復』というキーワードがあります。何かと忙しない昨今ですが、歩くことを通じて自分自身を見つめ直し、人間本来の感性を取り戻すきっかけにしてほしい。そんな想いからこちらの展示では人間の『五感』にフォーカスしました」
「歩く」という極めて日常的な振る舞いが、いかに人間の視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚に働きかけ、思いがけない気づきや刺激をもたらしてくれるのか。五感に対応した5点のビジュアルには、「歩くこと」がもたらしてくれる効能や喜びを表現しました。

そんなウォールの先には、蔦屋書店のブックコンシェルジュが監修した選書コーナーが。ここでは「歩くとは何か」をより深く探求できる本をアート・科学・歴史・技術といったさまざまなジャンルから厳選。アーティスティックなウォールで五感をひらいたあとは、これらの書物が知的好奇心の扉をひらいていきます。

テクノロジーの進化とRUNWALKのこれから
続くアシックスウォーキングの歴史やクラフトマンシップに触れられるセクションでは、アシックスの創業理念や独自テクノロジーの「GEL」、さらに本社内にあるラスト(靴型)製作室の様子を紹介。
「シューズメーカーの本社にラストを削れる職人がいるのは、国内ではめずらしいことなんです。ラストの修正や作り直しが迅速にできるのは弊社のシューズ開発の強みになっています」

後半はRUNWALKの軌跡とテクノロジーを概観できるセクション。アシックス商事 プロダクト戦略チームの西川雅俊が、「RUNWALKの歴史は『硬い』『痛い』『蒸れる』という革靴のネガティブな要素をいかに改善していくかの歴史でもあるんです」と、歴代モデルを手に30年にわたるテクノロジーの変遷を紹介。また2014年発売の現行モデル「RUNWALK 6」を分解したパーツ展示も来場者の注目を集めていました。



四方の壁を彩る展示を見終わると、会場の中央にあるアクリルのショーケースへ。特異な造形が目を惹くシューズは、アッパーにビジネスシューズ、ソールにランニングシューズの分厚いクッションを組み合わせた奇抜なプロトタイプ。そしてその隣には、7月発売予定とされる最新モデル「RUNWALK 7」の姿が。しかし……
「RUNWALK 7のまわりのアクリルにはスモークがかけてあります。まだ発表前なので、シルエットからデザインや雰囲気を想像してみてください」


というわけで最新モデルの公開はお預けでしたが、11年間も支持されたロングセラーの後継モデルだけに、どのようなテクノロジーやこだわりが詰め込まれているのか、期待は高まるばかりです。
見応え十分だったギャラリーツアーが終わると、ドリンクが振る舞われてレセプションへと移ります。あらためてじっくりと展示を見学したり、担当者に直接質問をぶつけたり、関係者同士で活発な意見交換を行ったりと、会場のそこかしこで熱心な来場者たちの姿を見ることができました。

またアシックス商事代表取締役社長の小林淳二も報道陣の囲み取材に応じ、本イベントにまつわる話題から、アシックスウォーキングのブランディングや経営面の展望に至るまで幅広い質問に回答。ちなみにRUNWALK 7については「機能性のアップデートに加え、革靴本来の品格や風格を備えることにもこだわっています」という楽しみなコメントも。

こうして終始和やかな雰囲気の中、先行内覧会&レセプションはお開きとなりました。
歴代モデルを振り返りながら「過去」を、現行モデルの分解展示や最新のアートワークを通じて「今」を、貴重なプロトタイプの展示や来る新作を想像させながら「未来」を。RUNWALKをめぐる時間の旅へと誘ってくれた「ASICS WALKING RUNWALK GALLERY」は、翌日から6日間の会期を無事に終え、大盛況のうちに幕を閉じたのでした。

Edit+Text : Taro Takayama(Harmonics inc.)