見えない部分こそ美意識が宿る
靴のプロフェッショナルが教えるTIPS集
SHOES MASTER’S VOICE
vol.15 靴下のスタイリング術 フォーマル編

#TIPS 2025.04.23

見えない部分こそ美意識が宿る

人が快適に「歩く」ためのシューズをビジネス、フォーマル、カジュアルなどのシーン別に提案しているASICS Walking。そんな靴選びのプロフェッショナルが靴にまつわるノウハウをレクチャーする「SHOES MASTER’S VOICE」。第15回目は「靴下のスタイリング術 フォーマル編」です。
靴下は見落とされがちな要素ですが、実は全体の印象を大きく左右する重要なアイテム。カラーや素材の選び方、シルエットとのバランスを工夫することで、上品さや個性を演出することが可能です。スーツスタイルにおける靴下スタイリングのポイントを、人気スタイリスト・井田正明さんが実践的なアドバイスとともにレクチャー。フォーマルシーンをテーマに、足元の印象を格上げする靴下の選び方やスタイリング術を紹介します。

足元に品格を添える、引き算の美学

黒いソックスはフォーマルの中でもドレスシーンの定番。シンプルでありながら洗練された印象を生む黒のストレートスラックスには、縫い目のない薄手のフォーマルソックスが理想的な組み合わせ。無駄のないデザインと滑らかな素材感が、スラックスとの一体感を生み出し、足元に品格を添えます。

合わせるシューズはブラックのストレートチップ。フォーマルシューズの王道であり、つま先に走る一本のラインがさりげないアクセントに。ソックスのミニマルな美しさを際立たせます。あくまで「引き算の美学」で魅せる足元は、格式ある場でも洗練された存在感を放ちます。細部にこだわることで完成する、究極のフォーマルスタイリングです。

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遊び心と洗練さを両立させる、カラーソックスの合わせ方

カラーソックスは、フォーマルな装いに遊び心を加えつつ、上品さを損なわない絶妙なセレクト。深みのある色合いのスラックスに温かみのあるオレンジのコントラストが、足元にさりげない個性をプラスします。カラーソックスと同じくスタイリングのポイントとなるのが側章付きのスラックス。スラックスのサイドに縦に入ったライン(側章)が特徴的なデザインです。タキシードなどの正装に用いられる格式の高さを象徴するアイテムは、サイドのラインが視線を縦に流し、洗練された印象を与えます。

このスラックスのクラシックな雰囲気に対して、あえてビビッドなオレンジソックスを差し込むことで、ほどよい抜け感とモダンさを演出。遊び心と洗練さを両立したスタイルに仕上がります。足元には、品格漂うタッセルローファーをセレクト。艶やかなレザーの質感がソックスの鮮やかさを引き締め、全体のバランスを整えます。

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色のバランスと素材感で表現する、上級者スタイリング

グレーのスラックスに同色のグレーソックスを合わせることで、足元に自然な流れを生み出し、品のある統一感を演出します。トーンを揃えることで、ミニマルかつ洗練された印象に。

さらに足元には、やわらかな雰囲気を添えるブラウンのコインローファーをセレクト。無機質になりがちなグレーのスタイリングに、温かみのあるレザーの質感をプラスすることで、洒脱なフォーマルスタイルが完成します。シンプルでありながら、色のバランスと素材感で表現する、上級者ならではの足元コーディネートです。

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靴下は小さなアイテムながら、素材やカラーの選び方、シューズとのバランスにこだわることで、フォーマルな装いに奥行きと個性を加えることができます。シーンやスタイルに合わせた靴下選びで、足元から洗練された印象づくりを。見えない部分こそ美意識が宿る。そのこだわりがフォーマルスタイルを格上げするポイントとなるのです。次回は「靴下のスタイリング術 カジュアル編」をお届けします。

PROFILE

井田正明
スタイリスト
1986年生まれ、埼玉出身。「川村都スタイリストスクール」を卒業後、五十嵐孝智氏に師事し、2011年に独立。ファッションメディアや広告、ブランドのカタログ、俳優の衣装など、幅広く活躍中。モードとカジュアルを軸にしながら、異なるエッセンスをミックスしたスタイリングを得意とする。

Instagram
https://www.instagram.com/masaakiida/
Photo:rai
Edit+Text : Shota Kato(OVER THE MOUNTAIN)
Styling:Masaaki Ida