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歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK
#27 高級住宅地「芦屋」で見つけた、ローカルな芦屋

#WELL-BEING 2025.02.21

歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK -芦屋・豊川月乃編-

※2025年1月時点の取材内容で構成しています。

その街をよく知るナビゲーターがおすすめの散歩コースを紹介しながら、自身のウォーキングスタイルについて語る連載企画「SANPO TALK」。第27回は、モデル、美容作家、そしてウォーキングスクール「TUKINO WALK」を主宰するなど多方面で活躍する豊川月乃さんがナビゲーター。ご自身がスタジオを構える兵庫県・芦屋の街を巡りながら、街の魅力とともにご自身のウォーキングスタイルについて語っていただきました。

「芦屋って高級住宅地というイメージが強いですよね。でも実はとってもおだやかで過ごしやすい街なんです」

そう話すのはモデルや美容作家としての顔をもち、ウォーキングスクール「TUKINO WALK」を主宰する豊川月乃さん。これまで2万人以上に歩き方を指導してきたほか、WALKING JOURNALでも歩き方のコツをレクチャーしていただくなど、まさに「歩くプロフェッショナル」です。

今回はそんな豊川さん自身がスタジオを構える兵庫県芦屋市が舞台。以前、本連載でも芦屋を取り上げましたが、前回が駅から南側のエリアだったのに対し今回は北側エリアが中心。スタート地点となるのは「アシックスウォーキング芦屋」です。

「このお店は気になる新作が出たり、スニーカーを新調したいときにちょくちょく訪れるんです。スタジオからもすぐそばですしね」

早速気になったシューズを手に取り、スタッフに質問を投げかける豊川さん。やはり「歩く」をお仕事にされているだけあって、シューズのディテールチェックに余念がありません。

ひとしきり店舗でのショッピングを楽しんだら今日の散歩がスタート。まずはアシックスウォーキング芦屋のすぐ側にある、豊川さんがレッスンをしているスタジオを通過。そして最初の目的地である「ヨドコウ迎賓館」に向かって歩き出します。

芦屋の中心地から歩くこと数分、すぐに視界が開けてきました。目の前にそびえるのは、関西のアイコンのひとつともいえる六甲山です。斜度のある道を歩きながら、まずは豊川さんが運営するTUKINO WALKについて聞いてみました。

「これまでもウォーキングやモデル養成のスクールはやっていたのですが、一人ひとりにもっと向き合いたいという想いが強くなり、1年半前にTUKINO WALKを新たにスタートさせました。いまは芦屋だけでなく、大阪の梅田でもレッスンを行っているんです」

TUKINO WALKの参加者はモデル志望からシニアの方までさまざまだそうですが、参加者には「こんなに大変なんですね」と驚かれることもしばしばあるのだとか。

「人間にとって歩くことは当たり前の動作なので、ウォーキングなんて誰でもできると思われがち。でも実は、正しい歩き方のために意識しなければいけないことがたくさんあり、奥が深いんです。正しいウォーキングを身に付ければ、美しく見えるのはもちろん健康にもつながるんですよ」

若干肌寒い日ではありましたが、そう話す豊川さんの足取りは終始かろやか。住宅街の坂道を上ると、やがて最初の目的地であるヨドコウ迎賓館が見えてきました。

ヨドコウ迎賓館とはかの有名な建築家、フランク・ロイド・ライトが、造り酒屋の8代目である山邑太左衛門の別邸として1918年に設計した建物です。現在は大阪にある鉄鋼メーカー、淀川製鋼所が所有していることからヨドコウ迎賓館の名がつけられ、国の重要文化財にも指定されています。

「ここに来るのは何年振りか思い出せないほどなんですが、かつての記憶以上に素敵なところでびっくりしました」

建物各所にふんだんに使われた大谷石、120個以上もあるという換気と採光のための小窓、植物の葉をモチーフにした飾り銅板――。そうした各部の意匠と、洗練と静寂が同居した空間設計に心奪われます。さらに屋上にはバルコニーがあり、六甲の山並みや市街地を一望できるようにもなっていました。

ヨドコウ迎賓館の見学を堪能したら散歩が再スタート。しばらく上り基調の道が続き、さらに歩を進めると「東山公園」が。ここは早咲きの桜として知られる河津桜が50本以上も植えられている自然豊かなスポットです。

「今まで目の前を通っていて気になる存在だったんですが…実は中に入るのは今日が初めて。園内に入ると想像していた以上に広くて緑があふれていますね。桜の季節にまた再訪してみたいです」

公園を抜けたら次なる目的地、「グランドフードホール芦屋店」へ。日本国内はもちろんのこと世界中から選りすぐった商品だけを扱う、食のセレクトショップです。

「来るたびに新しい発見があって、ついつい買い過ぎちゃうんです」という豊川さんの言葉どおり、店内には目新しい食品がズラリと並びます。この日は以前から気になっていたというピーナッツとアーモンドペーストのコーナーへ。ここではオーダーを受けたらその場で専用の機械でピーナッツやアーモンドを砕いてペーストにしてくれるのです。

注文を受けたスタッフがアーモンドを砕きはじめると、店内にはアーモンドの甘い香りがほんのり。「明日の朝食が楽しみです」と豊川さんの表情もほころびます。

次の目的地に向かう間に、豊川さんに普段のウォーキングについて聞いてみました。

「クルマの免許はもちろん持っているんですが、日常の移動はほぼすべて歩きですね。でも、ウォーキングを仕事にしていることもあってか、ウォーキングそのものを楽しむことは実はほとんどないんです。だから今日みたいな過ごし方はとても新鮮ですね」

次に訪れる「マ ビッシュ」は、豊川さんが足しげく通うお気に入りのパティスリー。これまでホテルやパティスリーで修業を重ねた村田 博さんが2017年にオープンしたお店です。店内に足を踏み入れると、人気商品である焼き菓子が40種類以上も並んでいます。

「お世話になった方へのお土産を買うとき、よくここに来るんです」

慣れた手つきで焼き菓子を手に取る豊川さん。聞けばご両親もここの焼き菓子のファンなのだとか。途切れることなくお客さんが訪れていることから、地元の方々にも愛されているのがわかります。

今回の散歩の最後のスポットとなるのが、芦屋の顔といわれるリストランテ、ラッフィナートの系列店となる「バール ラッフィナート」。ここはエスプレッソやカプチーノ、ドルチェや各種アラカルトが気軽に楽しめるイタリアンバルで、豊川さんは店内の落ち着いた雰囲気が好きで打合せでよく使っているそう。実はここでちょっとしたサプライズ(?)が。

「ここのスイーツ、先ほど訪れたマ ビッシュさんが手掛けたものだったんです。今まで何度も通っていたのにまったく気づきませんでした(笑)。自分の好きなお店が点と点でつながるとなんだかうれしい気分になりますね」

コーヒーとともにマ ビッシュのスイーツをいただきながら、今日1日を振り返ってもらいました。

「芦屋は海もあって山もあって自然豊かな公園もある、いわば都会と自然が共存した街。それでいて街全体が落ち着いているのが、芦屋の何よりの魅力。今回、慣れ親しんだ芦屋を改めて歩くことで、この街の良さを再確認するとともに新しい発見もありました。私にとって歩くとは表現そのものなので、ウォーキングを楽しむという考え方はあまりなかったんですが、これからは意識的に散歩に出かけたいと思います」

アシックスウォーキング芦屋
住所:兵庫県芦屋市大原町9-1-103 ラポルテ東館1階
電話:079-732-0244

TUKINO WALK神戸芦屋校
https://sen-se.com/

ヨドコウ迎賓館
住所:兵庫県芦屋市山手町3-10
電話:0797-38-1720

東山公園
住所:兵庫県芦屋市東山町12

グランドフードホール芦屋本店
住所:兵庫県芦屋市東山町6-6
電話:0797-35-2020

マ ビッシュ
住所:兵庫県芦屋市大原町20-24 テラ芦屋1F
電話:0797-61-5670

バール ラッフィナート
住所:兵庫県芦屋市大原町9-1ラポルテ東館1F
電話:0797-35-6444

PROFILE

豊川月乃(とよかわつきの)
モデル、パフォーマー、美容作家、そしてTUKINO WALKの代表などさまざまな顔をもつ。これまで有名女優やトップモデル、小学生や70代の女性まで、2万人以上の女性に指導してきた経験も。著書に 「美人養成専門学校48の教え」(サンマーク) 「ますますキレイになる人 どんどんブサイクになる人」(大和書房) などがある。
Photo : Sogen Takahashi
Edit+Text : Teruyasu Kuriyama(Harmonics inc.)